つまらないを定義する

「みんなのビル」は、つまらないビル経営を面白くするプロジェクト。ここで言う「つまらない」とは、次の4つのことを指しています。
1.相続する身内のいない【諦めのビル】
2.その良さが活きてない【残念なビル】
3.老朽化して人気のない【老いたビル】
4.他人任せで苦労の無い【不労のビル】

LR事業についてご理解いただくため、これらの課題にどうやって取り組むのかをお話しします。

1.相続する身内のいない【諦めのビル】

せっかく引き継いだ土地も、苦労して築いた建物も、それを相続する人がいないのは「寂しい」ことです。そしてたとえ居たとしても、自分の思いを引継いでくれる人でなければ同じことだと思います。だとすれば、実は多くの人がせっかくの財産を「譲りたい人に譲れない」という悩みを抱えています。これが第1の「つまらない」・・・【諦めのビル】です。

もしも相続人がいなければ、財産はすべて国のものとなってしまいます。すべてが換金され、何かの役に立つのかも知れませんが、土地は誰かに売却されてしまうのです。たとえ相続人がいたとしても、その土地に興味が無ければそれまでだし、複数で相続すれば分割されてしまいます。土地は消えることが無いので、無残な姿に変わり果てることでしょう。だから、土地は単なる財産でなく、代々の所有者の思いがこもった資源だと思うのです。

そこで私たちは、オーナーの思いを受け継いで、土地を生かし続ける事業に取り組んでいます。人には必ず寿命があり、次世代への引き継ぎは避けられません。家族制度が崩壊し、相続人のいない土地が急増しているといいますが、そもそも家族制度の目的はこの引き継ぎだったはず。土地の引き継ぎができない家族は家族の内に入りません。むしろ土地に込めた思いを伝え、それを引継ぐ人を家族と考えるべきでしょう。当協会は、その意味において土地資源継承のための「家族」を生み出します。

「家族=所有者と所有権を分かち合う人」が、この問題に対する私たちの答えです。

2.その良さが活きてない【残念なビル】

せっかく作った中庭が荒れ果てていたり、せっかくシンプルなデザインでまとめたのにセンスのないテナントが雰囲気を台無しにしたり、「オーナーの夢が叶っていない」と感じさせるビルをときどき見かけます。本当のところはオーナーに直接聞いてみなければわかりませんが、もったいないことは事実です。これが第2の「つまらない」・・・【残念なビル】です。

どうしてこういうことが起きるのかというと、ビルを作るときに目指したことや、工夫したことをビルの運営者やテナント斡旋者が理解していないことが原因です。彼らはそれを知らないのか、知ろうともしないのか。もしも知らないとすれば、それは伝えていないオーナー側に責任があります。思いや目的は、煩がられるほどしつこく伝えても簡単には伝わりません。その上、たとえ伝わったとしても、多くの人がそれをきちんと受け止めず、何の配慮もしてくれません。契約条件にでもなっていない限り、面倒なことはすべて省略されてしまうのが現実です。しかしこれでは、意味がありません。

そこで私たちは、オーナーの思いやこだわりを共有し、それを発信します。オーナーが本当に望むことは、多くの場合収益ではなく、その先の目的です。それは社会での評判や評価かもしれませんし、そこに集う人たちの笑顔や賑わいかもしれません。たとえ空室が無く収益が上がっていても、工夫や苦労は報われたとは言えません。たとえ時間がかかっても、それに賛同する人たちが集まるよう、もう一度オーナーのチャレンジを実行します。当協会はオーナーのこだわりが社会の利益に貢献することで、やり甲斐のあるビル経営を実現します。

「甲斐=社会の利益に貢献すること」が、この問題に対する私たちの答えです。

3.老朽化して人気のない【老いたビル】

せっかくローンの返済も済み、ゆとりのあるビル経営ができる時期になったのに、ビルは老朽化し、設備もデザインも時代遅れになれば、おのずと活気のないビルになってしまいます。実のところ、これ以上儲かっても税金が増えるだけなので、空室が多くても困らないのですが、ビルは荒れていくばかり。これが第3の「つまらない」・・・【老いたビル】です。

こうなると、リフォームやらリノベーション、果ては建て直しまで営業マンがひっきりなしにやってきます。日本では「新しい」ことに価値があることは確かです。賃貸住宅の退去時には壁紙が張り替えられ、中古住宅のリフォームを新築そっくりさんと呼ぶ会社もあります。しかし「新しい」という価値は、時間とともに無くなります。後発の「新しい」と常に比較され、勝ち目はありません。もうこれ以上、自分に不利な価値観につき合わず、「古いことはよいことだ」と頭を切り替えるべきだと思います。そして大切なことは、お金の力で無いものねだりを解消するのでなく、現状ここにあるものを活かしきり、使い切ることです。「ローンの負担が無い」という自由を、最大限に生かすことが大切です。

そこで私たちは、空室や未利用のスペースを閉鎖せず、現状のままで誰でも使えるように開放し、新たな利用者を受け入れます。無料開放を進める一方で、長期や短期の占有利用やスペース以外の壁面や屋外利用など、新たなニーズを捉えて収益化を進めます。設備投資は使用後の寄贈を前提に利用者の負担で行います。耐用年数を経た時点で施設を更新するのではなく、永続施設として維持するにはどうすればよいかを考えます。当協会は、その意味において土地資源の「永続活用」を目指しています。

「土地資源=永久になくなることのない無限の資源」が、この問題に対する私たちの答えです。

4.他人任せで苦労の無い【不労のビル】

不動産収入は代表的な不労所得です。ビルやアパートを経営するといっても、実際の管理業務やテナント募集は多くの場合不動産屋に任せきりで、忙しい仕事とは言えません。もちろんそうなるためには、大変な苦労と努力があったのですが、その後継者はその苦労もなく働かなくなってしまいます。これが第4の「つまらない」・・・【不労のビル】です。

土地や建物から賃貸収入を得ることを「大家業」といいますが、これは単なる俗称でそんな産業は存在しません。監督官庁も無ければ、準拠すべき法律も民法と憲法です。「大家」とは、職業ではなく身分の呼び名といっていいでしょう。多くの人は、自分自身が使うために土地を所有して、家賃を払わずに家業を営んできたのに、その後継者がいなくなることで廃業し「大家さん」になったわけです。ですから、このままでは後継者が育つはずがありません。所有者自身が土地建物を活用するビジネス=仕事を生み出さなければ、継承のしようがありません。

そこで私たちは、全ての施設に専任の管理者を置き、ビル運営という業務を創出します。さらに、施設の保全や整備、そして更なる利用の促進のため様々な業務を創出し、雇用を生み出します。所有者は土地資産から不労所得を得るのでなく、自ら提供した土地資源が生み出す収益から、働いた対価を得るようになります。当協会は、その意味において土地を「資産から資源」に、所有者を「大家さんを就労者」に変換します。

「LR事業=所有者参加の土地活用ビジネス」が、この問題に対する私たちの答えです。