土地を権力の支配から解放し、自由に売買できる財産にすることには、確かに成功し実現した。だが、その結果として使われない土地が増えて、空き家問題が深刻化している。その原因は、土地を利用したいと願う人に土地が供給されないためだ。そもそも土地を購入する人は、土地を使うことが目的だ。それはたとえ自分自身でなく賃貸に供しても、誰かに使ってもらうことが目的だったはず。ところが、使用者がいなくなり、空き家や空き室になってくると売却したくなるが、そこで所有者が求めるのは使用者でなく購入者だ。使いたくてもお金のない人には売却せず、たとえ使わなくてもお金さえ払えば購入者になれる訳だ。

 

こうした発想が、土地神話によって定着したのだろうが、すでに神話は崩壊し、売れない土地が増加しつつある。結局増え続ける空き家とは、「売れない家や土地」のことであり、貯金のように貯めこまれた「売却用の資産」と言える。そこで、土地を「売買や貯蓄のための資産」ではなく、「使うための資源」であるという思いを込め、「土地資源」という言葉を使うことにした。資産と資源の違いは、土地の有用性・永続性・独自性という3つの特徴がよく示す。

 

有用性とは、「役立つ」とか「使える」という意味だ。資産であれば高く売れさえすれば使えなくても構わないが、使えない資源など何の価値もない。もちろん土地とは場所のことであり、人間が生きるには居場所が欠かせないので、土地は人間にとって不可欠の資源なのだが、その他にも働いたり暮らしたり、遊んだり楽しんだりと、様々な使い方ができる資源だと言える。

次に永続性とは、いつまでも変わらずにあり続けるという意味だ。資産であれば売却すればいいので永続性など必要ないが、いつまでも使い続けられるのはありがたいことだ。土地とは空間の範囲のことなので、そこにあるモノは変化するかもしれないが、その範囲を使ったり、そこから何かを得たりすることは、それが続く限り終わらない無限の資源と言えるだろう。

そして独自性とは、土地は均一でなくすべての土地が異なるという意味だ。資産であればむしろ類似している方が希少価値を持つのだろうが、使うには他と区別するためにも個別に特徴を持つ独自性は大切だ。また、多様な人々が同居するこの世界においては、土地資源は一律で均質でない方が適材適所のバランスを保つ生態系に適している。

 

これらの特性を踏まえながら、土地を資産から資源に戻して利活用を促進したいが、そのためには決して地主の時代に戻るのではなく、未来に向けて現在の土地資源をリアルに把握する必要がある。

そこでまず「土地資源は何か」について考える。地主の時代と異なり、現代社会はすでに地球全体が連動して動いており、土地は地球の表面だけでなく、地中や上空にも及ぶ空間であり、そこに存在するものすべてが土地に伴う資源となる。

そして次に「土地資源の利用目的」について考える。地主の時代の終わるころ15億人程度だった世界の人口が、今では70億人に膨れ上がり、すべての土地を人間だけのために使う訳には行かないし、人間以外への配慮を怠ると人類の存亡に影響する。

そして最後に「土地資源の利用方法」について考える。人間はこれまで様々な開拓や建設を行ない、それらを使った経済行為やそれに伴う公共の仕組みなどを作り上げてきたが、利用されない土地が増える中で、今後の利用方法はどうするべきか。

 

土地に関する思考回路を資産から資源に切り替えて、地球の利用状況を総合的に把握することが、地主の時代とは全く異なる現代の、土地資源に関する現状把握だ。大雑把な議論になるが、できれば全体像をイメージしたい。