世界の土地利用一覧を調べると、必ず各国の総作付面積の比較データが示されている。その内訳は一年生作物(小麦、トウモロコシと米など)と多年生作物(柑橘類、コーヒー、ゴム、ブドウその他)で、残りの荒地面積に草原、森林、砂漠、建築物、道路など耕作以外の土地をすべて含む。日本の耕地面積は51位で、作付け率は12.5%と少ないが、60%以上が山林で、宅地が4.4%程度なので、やはり耕作地が土地利用の中心であることは間違いない。これが世界と比較した日本の土地利用の位置づけだ。

 

また、明治維新以降に推進された都市開発については、現在都市計画法に基づいて指定されている都市計画区域が国土の25.7%を占め、そこに91.6%の人が住んでいる。この区域は、積極的に市街化を進める市街化地域と、その逆に市街化を制限する市街化調整地域や無指定地域に分けられており、宅地はほぼ市街化地域に相当する。一般に不動産業と呼ばれる宅地建物取引業とは、宅地の仲介や売買を業とする資格のことで、宅地以外の土地であればその取引に資格は要らない。しかし、農地及び採草放牧地の売買は農地法によって規制され、農業委員会の許可が必要であり、日本における土地利用の内訳が急激に変化することはない。

 

こうした状況の中、これからの土地利用における土地の有用性とは何だろう。第1次産業を中心とした地主の時代は、土地から得られる自然の恵みが有用性の中心だったが、第2次、第3次と産業が高度化するにしたがって、土地の立地や周辺環境などから間接的に得られるメリットへと土地の有用性が変化した。だがそれは、技術の進歩による土地離れのプロセスに過ぎず、これからの時代は新たな土地の有用性をテクノロジーの力で創出する時代ではないかと私は思う。だとすれば、既存の土地利用が破たんすることで、新たな利用方式の模索と試行に対する制約が失われつつ日本の現状は、新たな時代の幕開けだ。空き家や放棄地の活用は、他所の利用者を誘致するのでなく、新規の利用者と利用方法を創出しなければ意味がない。

 

そこで破たんした土地や施設の最大の有用性は、現状のままで使えること。土地の整備や建設などの追加投資を極力避けることで、リスクや負担を減らすことも重要だ。土地資源とは土地のみのことではなく、土地に付随する工作物や自然環境などのすべてを含む概念であり、そこには利用者たちの残置品ややりかけの仕事もすべて含まれる。土地利用から生まれる収益は、まずは所有コストとしての固定資産税相当分を目指せばいい。社会から見た土地資源の最大の有用性は、固定資産税の財源となることだ。

 

このように、所有者がリスクや負担を減らすことは、土地利用の永続性とも密接に関係する。永続性を求めるのは所有による土地使用であり、収益性を優先する賃貸による土地使用と区別すべきだろう。土地資源に投資をすることで有用性を創出する土地開発や施設建設は、土地所有者ではなく利用者に任せるべきだ。そして利用者との関係は、賃貸契約でも業務提携でも構わない。利益を得たければ利用者側にも参加して、所有者の報酬はリスクを負わない範囲にすべきだ。永続性とは不死身のこと。たとえ利用者が倒れても、所有者は決して倒れてはならない。

 

永続的に新たな有用性を求めるうちに、やがて土地利用は独自性を獲得することになるはずだ。地域に根差した長寿ビジネスとは、ビジネスの内部留保でなく地域社会との信頼関係という貯蓄を築いている。地域独自のビジネスは、地域社会に所属する全ての人が、営業マンになってくれる。それと同様に、地域独自の土地利用とは、他に類を見ない特殊なことを言うのでなく、地域社会に対して特別な対応をすることだ。それは地域の人たちを優待したり方法は様々だが、その見返りに協力を求め、対等な関係を作るべきだ。こうした関係性が充実することで、行政サービスを減らしていくことが、地域社会の自立につながるのだろう。