土地を全体と考えることは、土地が要素で出来ていると考えること。要素が持っている様々な意味は、その全体である土地の意味を考えるヒントになるということだ。一番わかりやすい要素が地面だとすると、あなたの家は地面や床で出来ている全体ということになる。地面と床の分類は、自然と人工物の区別だとすると、それはあなたの家が土地と建物で出来ていることを示すが、雨に濡れるか濡れないかという区別だとすれば、それは屋根の有無を示すことになる。さらに、地面にも自然のままか、舗装したかの違いがあり、自然や舗装もさらにいろいろな種類がある。

 

また、家とは人間の居場所を示す全体なので、床という要素も人間用だが、駐車場という全体になれば床も車のための要素となる。例えば床の分類は、車が走る車路と、車を留める駐車スペースと、車の手入れをする整備場と、車が入れないその他になるだろう。だが、これを人間に当てはめれば、家の中も移動スペース、滞在スペース、作業スペースなどの機能別に分類できる。これは一見部屋の分類のようにも思えるが、移動スペースは廊下や階段だけでなく、部屋の中の動線も考えれば家具の配置や家族構成なども影響してくる。私が昔建築設計の仕事をしていたころ、家族構成や暮らし方を聞きながら扉やコンセントの位置を決めたのは、まさに家を全体にしていくプロセスだったのだろう。

 

このように、要素を決めてから土地という全体を組み立てる方法の反対に、土地という全体から要素を見出すこともできる。自分の家の中にあるモノから何か一つを要素だと仮定して、他の要素とどういう関係にあるのかを考える方法だ。例えば今度は壁について考えてみよう。誰の家にも壁があるが、壁の目的は何なのか、そして壁が無いとどうなるのかをじっくり考えると、

見えないように視覚を遮る、

通れないように塞ぐ、

音が聞こえないように遮音する、

寒くならないように断熱する、

家が壊れないように屋根や床を支える、

絵などを展示できるように配置する、

雨や風を遮る

花粉やホコリを防ぐ

ばどなど、我ながらビックリするほどたくさん思いつく。これらを改めて眺めると、私たちは土地利用に際して実に様々な役割を壁に求めていたことがわかるし、壁のない屋外にはどんなメリットやデメリットがあるのかを、改めて考える機会を与えてくれる。

 

またこれとは逆に、あなたが要素の役割を指定することで、全体のイメージを作ることもできる。壁を省略したり余分に作ることで、人々に意外性や違和感を感じさせたり、ガラス張りや段ボール製のトイレなど普通とは違う材料で作ったり、すべてを白く塗るとか地元の木材を使うことなどで、全体に対するメッセージを込めることもできる。そして、全体とは決して大きい必要はない。どんなに小さくても家は全体だし、さらに言えばその家の子供にとっては子供部屋が一つの全体かも知れないし、オフィスで働く人にとっては自分のデスクが全体かも知れない。全体とは、ユニーク(唯一無二)なことであり、代わりがないから大切だ。もしも地球が二つあったら、かけがえのない星とは言わないだろう。だから、自分の家や土地の全部を全体と決めつけず、どの範囲ならユニークな存在になるかを考えて全体を決めればいいと思う。

 

こうした全体には、必ず名前が必要だ。それも、全体とはユニーク(唯一無二)な存在なので、固有名詞が欲しい所だ。逆に言えば、固有名詞とはその対象がユニークな全体であることを意味している。・・的とか、・・風という呼び方は、それがオリジナルと類似しているグループに属していることを意味している。土地利用に際し、その土地の全体を明確にする早道は、とにかく名前を付けること。太郎や花子のように、名前には意味など不要で、むしろ覚えやすく呼びやすいことが大切だ。そして名前の意味を訊ねられたらしめたもの、全体を構成する要素について、じっくり説明すればいいと思う。