土地を要素とする全体と、土地を全体とする要素について考えてきたが、実際の土地は常に何かの全体でありながら、何かの要素でもあり、そのような全体と要素の中間的存在を部分という。例えば、神奈川県という土地を部分とすれば、神奈川県は日本を構成する47都道府県という要素の一つであり、一方で、33の市町村から構成される全体だ。だが、考えてみれば、神奈川県から見た全体の日本は世界を構成する国という要素であり、神奈川県の要素である市町村の中の横浜市は、18の区で構成される全体だ。さらに私の住む横浜市緑区は、59の町からなる全体だという風に、結局すべての範囲は常に何かの全体・部分・要素であると言えるだろう。そこで、土地に関する説明方法は、土地を部分と位置付けるやり方に集約したいと思う。

 

自分の土地は「部分」であるとするならば、部分から見た全体と要素の双方を考えることになる。だが、部分とは全体から見れば一種の要素、要素から見れば一種の全体なので、部分は全体と要素の双方の特徴を併せ持つことになる。だとすると、全体には名前が欠かせないと言い、要素には特徴が必要だと述べたのだから、部分には名前と特徴の双方が必要だ。実は私たちが、特徴を表すような名前を付けたくなる原因はこれではないかと思われる。余談だが、私の携わるプロジェクトの名前は「笑恵館(しょうけいかん)」というのだが、初めは「多世代型シェアハウス研究会」と名付けていた。確かにこちらの名称は、活動内容や目的の特徴がよくあらわれ名前を聞いただけで内容が想像できるのだが、次第に似たような名称の団体や活動が現れてきたので「笑恵館」に切り替えた。

 

そこで現在では、「笑恵館 会員制のみんなの家」のように、タイトルとサブタイトルを併用するようにしている。これはまさに、外から見た全体像に付けた固有名詞と、内側から見た構成要素の特徴に関する説明文の組み合わせであり、「土地活用事業を部分として捉えた事例」と言えよう。ちなみにIBMの正式名称はInternational Business Machines Corporation(国際仕事機械会社)、NECの正式名称は日本電気株式会社(Nippon Electric Company)であり、結果的に似たような効果をもたらしていると思われる。イギリスの正式名称が「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」であることも、同様だ。

 

さて、少し脱線してしまったが、土地を部分と考えることは、その土地が何に所属し、何を支配しているかということにもつながる。神奈川県は、日本国に所属し、33の市町村を統括しているのだが、自分の土地についても、このように考えると、社会における位置づけが明確になる。例えば土地が農家なら、農協に所属し土地は農地と住宅と機材倉庫で構成されているかもしれないし、独自に農家レストランを経営するなら、農協には所属せず直販所やこだわりレストランのネットワークに所属し、土地は農地と住居の他、レストランや駐車場の他体験農場や直販所として活用しているかもしれない。土地活用に、こうした土地周辺と土地内部を繋ぐ役割が求められるなら、それは所属先と支配先のことであり、全体と要素とはそのことを意味している。

 

こうした所属や支配という関係を、「所有関係」という。「僕の家」では、「の」が所有を意味しており、僕が家を支配し、家は僕に所属している。所有権については次の章で説明するが、土地利用の活性化とは、土地の支配者と所属者の関係をうまく構築することだ。すべての生き物が地球に所属する中で、人間は活動に適した部分を支配して世界を作ったが、やがて人間同士がその支配の範囲を調整し、多様な部分の組み合わせで現代社会は成り立っている。外からは一見同じに思える国々の全体像だが、その部分である社会や会社が日本とは異なる強みや弱みを持っているのは、その構成要素である仕事や家族や土地が全く異なるためだ。世界各所の様子もまた「部分」と捉え、グローバルとローカルの双方に目を向けることが、いま求められているのではないだろうか。