土地を地球や世界として捉えるのは、土地を理解したり説明するための方法だったが、土地を空間として捉えるのは、土地を比較・評価して、選ぶための方法だ。自分だけでは使いきれない土地の利用を促進するには、その土地を理解するだけでなく、評価し選んでもらう必要があるのだが、土地は持ち運びできないので、現地に行かなければ試しに触ったり舐めたりできない。したがって、形状の比較や評価には、それを表現する図面や資料が欠かせない。実際にその土地に行かなくても、どんな土地なのかその様子を知らせる必要がある。ところが、多くの土地所有者は現地確認を怠る上に、資料整備もしていない。土地売買や相続手続きの際、こうした資料が必要になるのかと思えばそうではなく、土地に関する資料は登記簿さえあれば足りてしまう。

 

登記簿の記載事項は次の3つに分かれているので見て欲しい。

(1)表題部

  • 土地について:所在・地番・地目(土地の現況)・地積(土地の面積)など
  • 建物について:所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積など

(2)権利部(甲区)

  • 所有者について:所有者名、取得日、取得原因(売買、相続など)など
  • 所有権について:移転登記、登記、差押え、仮処分など

(3)権利部(乙区)

  • 所有権以外の権利について:抵当権設定、地上権設定、地役権設定など

 

このように、登記簿とはまさに資産としての土地資料であり、売買や相続のための最低限の情報を記載している。もしも、土地に関する知識を持たない所有者が、この情報をすべてと考えてしまったら、土地を活用できず持て余すのも無理はない。現に多くの所有者たちは、この資料を基にして、借り手や買い手を探すことしかできていない。それもほとんど自分で行わず、仲介業者などに書類を預けて任せているだけだ。そこで本項では、土地利用をする所有者が持つべき資料を作成するために、知っておくべき「空間としての土地」について説明する。登記簿の他に必要な、地図や図面に記すべき空間の要素は、次の3つに分類できる。

 

1つ目の「位置」に関する情報は、土地・空間にたどり着くのに欠かせないが、絶対的な位置と相対的な位置関係に分けられる。これらの情報を網羅する「地図」の役割についても説明したい。2つ目の「形状」に関する情報は、土地・空間を区別するのに欠かせないが、ここではモノのカタチや手触りだけでなく、並び方や組み合わせなどの形態や、色、音、匂いなど5感で区別できるすべての要素を含む。こうした形状について表現・説明するために、私たちは様々な「図面」をつくる必要があり、その役割についても説明したい。そして3つ目の「規模」に関する情報は、評価するには欠かせないが、それは位置や形状が同じでも、測り比較できるすべてのものを指す。こうした規模について表現・説明するために私たちは様々な表やグラフを作る必要があり、その役割についても説明したい。

 

本項ではこれらの3つの要素を使って、空間としての土地について考察するが、それは私たち自身が位置を知ることで土地にたどり着き、形状で区別し、規模で比較することで必要な土地を選ぶというプロセスをなぞることだ。このように私たち人間と空間が密接な関係なのは、私たち自身が空間だからだ。空間とは、その中にいるときの呼び名であり、外から見ればそれは物体だ。地球は広い空間だが、宇宙から見れば丸い星だし、今私たちがいる部屋だって、外から見れば家などの建物だ。

 

これは自分自身にも当てはまる。自分は体の中にいて、そこから世界を見たり感じているが、外から見れば、人間のカタチをした物体だ。そして、自分が土地にいるときは自分自身が土地の一部になっており、自分の土地とは自分を含む存在ということになる。土地を空間として捉えると、そこには数字や図形がたくさん現れて、数学的・物理学的な話に聞こえるかもしれないが、それらを理解・評価・選択するのは、人間の5感だということを忘れないで欲しい。