主従と主客

主従関係とは支配関係のことで、主客関係とは取引関係のこと。

つまり会社で言えば、主従は社長と社員で、主客は社長と顧客の関係となる。

あえてこの上下関係をまとめると「社員<社長<顧客」となるのだが、これが日本社会に様々な勘違いをもたらしている。 “主従と主客” の続きを読む

財産と権利

地主の学校の執筆に苦戦している。

はじめは僕自身の取り組みを紹介するためくらいの軽い気持ちで取り掛かったのだが、書き進むにつれて考えさせられる課題とぶつかり、その答えを見つけて書き加えているうちに、当初思っていたものとは少し違うものになってしまった。 “財産と権利” の続きを読む

小さな国のお留守番

地主の学校を予定通り8月中に書き終えた。書き終えたと言っても、最後のページまでひとまず書いたというだけで、読み直すと直したいところだらけだが、それでも〆切を守ってとりあえずやり遂げた。そして、引き続き内容を整理し、判りやすく面白くすることや、出版社を探して売り出すことなどやるべきことはたくさんあるが、 “小さな国のお留守番” の続きを読む

カンパニーとカントリー

以前、「会社と社会」について話したことがあると思うが、僕はそれを「カンパニーとカントリー」に言い換えたい。そもそも「会社と社会」とは、家族から進化してできたもの。人間は、家族という組織を作ることで生きてきた動物だが、さらに成功を目指し欲望を満たすために会社を作り、失敗に備え生き延びるために社会を作った。だが、今の日本では会社だけが頑張っていて、社会はちっとも失敗に対処しないし、 “カンパニーとカントリー” の続きを読む

王の果たすべき責任

「殆どの人間は実のところ自由など求めてはいない。何故なら自由には責任が伴うからである。みんな責任を負うことを恐れているのだ」と言ったのはフロイトだそうだ。土地所有者が空き家を放置するのは、所有権があれば何でも自由にできるのに、それを怠る所有者が引き起こす問題だと思っていたが、 “王の果たすべき責任” の続きを読む

依存とサービス

僕は今、毎月5万円の小遣いをもらっているが、ほとんど5万円の貯金をしている。スーパーカブというバイクに乗っていて、これがリッターあたり60キロぐらい走るので、自宅から笑恵館までの往復が電車だと900円位かかるところ、カブだと100円程度で済む。笑恵館には週3日通っているので、電車に乗ったと思えば毎週2400円、月に1万円位が浮いてくる。今の僕は、このお金で暮らしているので、さっきの貯金ができてしまう。いきなりお金の話をしたが、僕は暮らしが充実すればするほどお金がかからなくなってくる。なぜだろうと思い、今日はちょっと考えてみることにした。 “依存とサービス” の続きを読む

最高の最低

脱地主革命とは、明治維新における地租改革や町村大合併など地主の社会的役割を行政に移行し、その後の土地売買の促進などにより、土地を所有する市民から「地主の自覚」を消去したプロセスのことを指す僕の造語だ。江戸時代までの封建社会において、実質的に地域社会と経済の運営を担ってきた地主の抹殺を、「 “最高の最低” の続きを読む

賃貸と共有

所有について考える日々の中で、一つの疑問に出会い、歩みが止まっている。今日はこのブログを書くことで、この迷路から脱出したい。所有とは「AがBを所持する」とか、「AがBを制御する」など、AとBの非対称な関係を指す言葉だ。空間的には「AがBを含んでいる」ときにAがBを所有しているイメージだ。これを日本語では「AのB」と表現する。たとえば、「日本の東京」と言えば「日本国の中の東京都」であり、 “賃貸と共有” の続きを読む

ベーシックライフ

歴史はあたかも、地主を滅ぼそうとしていたように思えたのだが、それは違っていたようだ。土地利用の推進は政府が担っているように思われているが、それはインフラや資源となる公有地だけであり、暮らしや経済を担う民有地からは固定資産税や相続税を取るだけだ。補助金だらけの福祉やサポートが充実するばかりで、 “ベーシックライフ” の続きを読む

後出しの夢

地主の学校の執筆作業が、ようやくはかどり出し、何とか30%程度にこぎつけた。遅くとも8月中には完成し、9月には延び延びになっているSHO-KEI-KAN展Ⅴで、展示リリースしたいと思っている。執筆のスタートに当たり、一番苦労したのが、この本のまえがきだ。地主の学校という仮タイトルにしても判り難いのに、その内容はもっとわかりにくい。まあ、判り難いからこそ、書籍化を決めじっくり説明しようと思うのだが、 “後出しの夢” の続きを読む

未来の無い社会

あなたは未来についてまじめに考えているか。世の中は変化が激しいので、未来を考えるのは難しいなどと、いい加減なことを行っていないだろうか。確かに昔は、何百年も社会が変わらないことが普通だったので、未来は考えなくてもわかったかもしれない。長く続いた徳川時代なら、家業や家督を子孫に引き継ぐ “未来の無い社会” の続きを読む

地主革命

革命とは、統治体制が急激かつ根底的に変革されること。具体的には、支配する側とされる側が入れ替わることを指す。はるか昔の原始時代は、強いものが弱いものを支配する世界だったが、支配される側がより良い世界をつくるために団結し、幾度も革命を繰り返してきたのが人類だ。しかし、革命が繰り返されたのは、 “地主革命” の続きを読む

それにしても、なぜ地主?

地主の学校について、様々な人と話すうちに、素朴な疑問が湧いてきた。結局松村さんは何をやりたいのか?・・・と。確かに「地主」という言葉自体がもたらす違和感とか、意外性こそが「地主の学校」の目的なのかもしれない。例えば、地主と言われても、多くの土地所有者が実感を持たないことはすでに何度も述べてきたが、それは継承でなく売買で土地を手に入れたから。つまり、売買することで失われるものがあることを伝えるためだ。また、地主に関する法律や学問が無いことも、 “それにしても、なぜ地主?” の続きを読む

継承と売買

現代の土地所有者に「あなたは地主ですか?」と尋ねると、ほとんどの人がNOという。それは多くの場合、自分の土地が先祖代々引き継いできた土地ではなく、購入した土地だからだ。先祖から引き継ぐとは、具体的には親から相続することなので、無償でもらうことを指す。親もその親も、土地はずっと無償で引き継がれてきたのは、 “継承と売買” の続きを読む

故郷と空き家

故郷を辞書で引くと、「その人に、古くからゆかりの深い所。生まれ(育っ)た土地や以前に住み、またはなじんでいた場所。」とあるが、僕は疑問を感じる。こうした場所を故郷と思う人がいるかもしれないが、これに当てはまらない人もたくさんいる。つまり、これは故郷の説明であって、定義ではない。 “故郷と空き家” の続きを読む

地域と故郷

一昨年の年末、建築家のIさんと上海を訪ねたのだが、その時はまだ買物は現金やカードで普通に出来た。ところが昨年の夏には、QRコード決済サービスが爆発的に普及し、すっかりキャッシュレスの環境が整ってしまった。中国のインターネットがGoogleやFacebookなどを排除したり、上海最大の本屋に中国語の本しか置いていないのを見て、完全に「中国語ワールド」的鎖国状態を作り上げている一方で、変化のスピードも猛烈だ。 “地域と故郷” の続きを読む

原発と空き家

原発と空き家がよく似ていることに気が付いた。共通点は、終わり方が判らないこと。原発の終わり方とは、放射性廃棄物の処理や原子炉の解体技術のこと。老朽化で運転を終える原子力発電所の廃炉処置の困難さに加えて、二酸化炭素排出削減策として、既存の原子力発電所の延命方針が打ち出されたが、わずか1ヵ月後の2011年3月11日に東日本大震災による福島第一原子力発電所事故が発生し、放射能汚染を東北・ “原発と空き家” の続きを読む

「独立」の意味

土地の所有権は、誰もが生まれつき持っている権利ではなく、国から与えられる権利だ。現代の日本では、約4千万人の人が土地を所有し、固定資産税を払っていると言うが(国税庁)こんなに多くの国民が土地所有権を持っている国は世界でも珍しいようだ。そもそも、国境線に接する土地を隣国の人に買われると、 “「独立」の意味” の続きを読む

世界の地主(第2章)

地主の学校開設に向けて、土地の所有権に関する勉強をしている。第3章で「地主の役割」を論じるために、第2章の「世界の地主」では様々な事例を参照しようと考えているのだが、これを調べるうちにとんでもない現実が見えてきた。それは、個人の土地所有権を認めている国がそもそも少ししかない上に、 “世界の地主(第2章)” の続きを読む

地主のちから(第1章)

地主の学校の開校に向け、早速準備に取り掛かった。まずは、毎週土曜を作業日と決め、企画作業を進めていく。プロジェクトを立ち上げる時、僕は必ず作業日を決め、ゴールを決めて突っ走る。そしていつものことながら、せっかく作業日を決めたら、その日は何が何でもイベントにする。だから、今後しばらくの間、 “地主のちから(第1章)” の続きを読む

地主≠大家

地主と大家は違う。当たり前のことだけど、最近僕はこのことに気づいて愕然とした。確かに大家さんの大多数が地主でもある。僕の取り組んでいる「地主支援」には、大家さんに役立つことも含まれるので、「大家支援も仕事のうち」と思い込んでいた。だが、僕の提案の核心は、土地を売らずに永続的に利用すること。土地を売ったら地主で無くなるのだから地主が土地を売らないのは当たり前だが、 “地主≠大家” の続きを読む

であることと、らしいこと

オーナーシップとは「所有者らしさ」のこと。実際の所有者であるかどうかでなく、所有者として必要なことを備え持っているかどうかということだ。所有権とは、自分のモノを自由に使い、自由に稼ぎ、自由に処分できる権利というが、その権利を行使することがオーナーシップには不可欠だ。したがって、 “であることと、らしいこと” の続きを読む

僕ら自身が王になる

僕が前回シンガポールを訪れたのは、2004年のことだった。ひょんなご縁で資産家の友人から「シンガポールのプライベートバンカーに会ってみないか」と誘われて、僕は迷うことなく飛びついた。プライベートバンクと言えば、ゴルゴ13ご用達のスイス銀行を思い浮かべるが、日本でその実態に触れることはまずありえない。 “僕ら自身が王になる” の続きを読む

行動から思いつくこと

11月は、11日間にわたり古民家の活用事例を見て回った。当初リストアップした216件のうち、訪問できたのは174件で、まだ西神奈川や千葉エリアなどが残っているが、調査はこれで一区切りとし、今日はその結果を簡単に総括したい。そもそも僕は何を探していたのか。それは、「古民家の背後に所有者あり」という仮説を確認するためだ。古民家には所有者が培ってきた良質な空間環境、所有者にとって捨てがたい価値、 “行動から思いつくこと” の続きを読む

石を積む

突然「石を積む」と言われても、あなたには「何のこっちゃ」だと思う。今日は、名栗の森オーナーシップクラブの11月例会に参加して、3つの「石を積む」を体験した。一つ目は、山道の途中にあるご神木の周辺整備。二つ目は、 “石を積む” の続きを読む

古民家と所有者

ようやく秋らしい快晴の日々が続くようになったので、昨日の朝僕はスーパーカブに乗って、「所有者主導の土地資源活用事例」の訪問調査に出発した。今回この調査を思い立ったのは、もちろんソーシャル不動産プロジェクトの紹介事例を増やすためだ。先週まで雨や台風が続いたり足の小指を怪我したりで、どうせ事務所で悶々と暮らすなら、思い切って時間を割いて活用事例を検索しまくった。収集にあたっては、 “古民家と所有者” の続きを読む

ランドバンクという言葉

昨年開催したSHO-KEI-KAN展Ⅲで紹介した「ランドバンク」が、じわじわと脚光を浴びつつある。

【アメリカの取り組み】一部の州で先進的に活用しているランドバンク(LB)は自治体内に設置される州法で定められた行政組織のこと。固定資産税を一定期間滞納した物件は、裁判所等の手続きを経て、郡のLB の所有とすることができる。LB は、放棄物件の活用を図るため、様々な事業を行う。また、 “ランドバンクという言葉” の続きを読む