土地と資源

以前あるセミナーで、「土地は何でできているでしょう」という質問をしたことがある。これに対し、参加者から「地面」「陸地」「石や土」など様々な答えが出たが、僕の頭が一番反応したのは「地球の表面」という答えだった。土地とは何か、土地の所有権とは何かを考える上で、「地球の表面」という解釈は示唆に富んでいる。所有できるのは陸だけではなく海も同じこと。「誰も所有できない」とはまさに所有の議論だ。川は海と同じか、浅い川はどうか、流れの変わる川はどうか、陸地という言葉の定義もなかなか難しい。つまり、これらを包含し、確実に指し示すのが「表面」いう言葉だ。したがって、土地は石や土のことでもない。地球という天体の表面を、他の動植物の許可も得ずに人間が勝手に分割し、そこに所有権を発生させているだけのこと。だからこれは、極めて人間的な仕業だと言える。 “土地と資源” の続きを読む

永続性を作ること

Kさんの実家は高知県土佐市の山の中。空き家状態になってしまったため、地元の自治体の空き家バンクに登録して利用者を探していた。先日入居希望者との契約も済み、空き家バンクも捨てたものじゃないね、などと話していたのだが、「これって全然解決じゃないですよね」とKさんは言う。 “永続性を作ること” の続きを読む

空き家活用の相談

空き家活用の相談が動き始めました。

八王子のSさんのお宅は施設が老朽化したものの、市内に残る8件の繊維工場の一つとして操業中ですが、この先どうして行くのか思案中だとか。また、今週9日には栃木の御実家が空き家状態になってしまったSさんが、笑恵館にお越しになります。 “空き家活用の相談” の続きを読む

解決のイメージ

笑恵館の近所の空家群を見に行った。まず、相談者Oさんのお宅はご夫婦の暮らしが2階でほぼ完結しているので1階の5部屋が空き室状態で、当面の課題は[片付け]だ。そして庭続きの裏の家は趣のある木造2階建てで、和風にまとめられた庭には時々植木屋さんが入っているという。さらにその隣家も大きな家で、 “解決のイメージ” の続きを読む

土地所有者の役割

鎌倉時代以降日本の社会は、武家支配による社会が長く続いた。歴史ドラマなどを見ていると、功績のあった武将がその褒賞として領地を授かり、そこを治めて国づくりに励む話をよく見かけるが、権力の中央に対し、上納金や献上物などの負担があっても、交付税や助成金のような分け前があったとは考えにくい。 “土地所有者の役割” の続きを読む

空き家を生まない社会を目指して

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「空き家を生まない社会を目指して」という言葉は、僕が設立した[日本土地資源協会]という団体のミッションをわかりやすく表現するために思いついた言葉だが、実はこれには元ネタがある。

それは、株式会社ワーク ・ライフバランスのK社長の言葉「残業の無い社会を目指して」という言葉だ。 “空き家を生まない社会を目指して” の続きを読む

土地資源の再定義

協会HPには、 【ランドリソース】とは、土地資源を意味する造語です。 土地や建物を「当事業の対象」として指し示すとともに、土地の利用・整備・保全に取り組む際に単位となる「一団の土地」を表します。 とあるが、これは具体的な記載とは言えない。 そこでまず「土地資源」を再定義したいと思う。

土地を資源化する4要件

1.開放不動産

一般の不動産では、未利用部分を閉鎖して不特定の人々の立ち入りを認めない。その主な理由としては、開放していると第3者に占有されたり毀損される恐れがあるからだ。上記を解消するためには新たな手間や負担が生じるため、結局未利用部分は放置され、増加している。

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夢見るオーナーの会

公益申請に関する内閣府への対応を巡り、悶々とする日々に追い打ちをかけるように風邪をこじらせ、最悪の日々が続く今日この頃。 だが、またしてもつまらないやり取りの中から、問題の核心は明らかになりつつある。 僕が最も説明に苦慮し、誤解を招き、その議論の必要性を疑いつつも譲れないのが「所有権」に関する議論だ。 “夢見るオーナーの会” の続きを読む

所有者参加の土地活用

土地を活用しないのは「もったいない」と言うけれど、それは何のことでしょう。所有者が他人に貸して家賃を取ろうとしないことなのか、どうせ使わないのに他人に安く使わせないことなのか、いずれにせよ「土地で利益を上げないこと」を指しているのではないでしょうか。所有権とは、それを使って何をしてもよい自由のこと。そこで利益を求めるのも求めないのも、所詮所有者の自由です。私たちは、この「自由を使わないこと」を「もったいない」と考えます。 “所有者参加の土地活用” の続きを読む

ランドリソースってどういう意味?

土地は不動産とも呼ばれる代表的な資産です。昨今の空き家や耕作放棄地といった問題は、主に民有地が放置されている状態を指すわけですが、資産という観点からすれば、運用されていない遊休資産と言ったところでしょう。しかし土地は、元来生活や生産の場として私たちの生活にはなくてはならないもので、 “ランドリソースってどういう意味?” の続きを読む

ランドリソース発進までの、3つの迷い

2月2日、ようやく公益認定の申請手続きを開始しました。振り返るとこの法人は、土地の永続的な利活用を実現するため、個人の所有から法人所有に移行する受け皿として設立したという意味で、当初から公益法人となることを目指してきた訳ですが、これまでの間、次のような3つの岐路を経てきたように思います。
・この事業の公益性をきちんと説明できるのかという岐路
・公益事業とは公益法人でないとできない事業なのかという岐路
・公益法人になる前に公益事業に着手するべきかという岐路 “ランドリソース発進までの、3つの迷い” の続きを読む

所有権と所有義務

ランドリソース活動は、土地所有のあり方についての提案でもあります。 土地所有のあり方は、今の日本においては「所有権」という権利が誰に帰属するかによって所有者が決まります。あえて「今の日本」と加えたのは、地域や時代によって異なるからです。例えば、国の領土について日本と中国では違います。中国政府はすべての領土を所有していますが、日本政府はそうではありません。 “所有権と所有義務” の続きを読む

所有権を否定してみよう

新しいことって、何かを辞めること、何かを否定することでもあるんです。

私が夢中になっているランドリソース(土地資源)という考え方は、土地を「資産」でなく、「資源」として活用しようというもので、今まさにこの概念を使って「空き家の無い社会」の実現を目指して活動しています。

そもそも「空き家はなぜいけないのか?」 “所有権を否定してみよう” の続きを読む

定休日は何のため?

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笑恵館には2つの定休日があります。一つは笑恵館自体施設としての定休日で、 もう一つはテナントのパン屋(せたがやブレッドマーケット)の定休日。二つの定 休日をめぐり、考えさせられています。 できれば一日も休みたくありません。休んでしまえば、来客数が減り→売り上げ が減り→利益が減ります。 “定休日は何のため?” の続きを読む

笑恵館クラブ・会員募集中

笑恵館が従来の不動産ビジネスと違うのは、会員になれば施設を自由に利用することができる点です。土地や建物という資源は、何も使わずに遊ばせておくことが一番良くないことです。だから笑恵館では、笑恵館クラブという会員組織を作り、年会費500円でいくらでも利用できるようにしました。

ただし、次のような利用方法については、さらに別の会費をいただきます。

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笑恵館・進捗状況の報告とお誘い

笑恵館とは、小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅ほど近く、築50年の住宅と35年のアパートを少し改修し、店舗や教室を備えたコミュニティアパートにするプロジェクトです。これまで耐震補強を含むリフォーム工事の内容調整に手間取ってきましたが、ようやく着工し今後のスケジュールが見えてきました。

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笑恵館クラブ スタート!

【笑恵館(しょうけいかん)】とは、世田谷区砧にある古い木造のアパート付き住宅です。「ここに集う誰もが笑顔になれば」という意味をこめて、命名しました。私の願いは、めったに会わない身内よりも、気心の知れた近所の他人とお付き合いしながら、住み慣れたまちで人生を全うすることです。そこで「笑恵館クラブ」という会員組織をつくり、笑恵館を利用・活用してくださる皆さんとともに、生き生きと暮らしていきたいと考えました。 “笑恵館クラブ スタート!” の続きを読む

笑恵館クラブ 入会受付始めます

『笑恵館は、会員制の「みんなの家」です。』
あれこれ悩んだ挙句、こんなコピーにたどり着きました。

【笑恵館(しょうけいかん)】とは、田谷区砧にある古い木造の住宅兼アパートで、「ここに集う誰もが笑顔になれば」との思いから、オーナーの田名さんが命名しました。これまで「永続的な多世代型シェアハウスの実現」に向けて、毎月研究会を開催し、広く皆様のご意見を聞きながら準備を進めてきましたが、いよいよ開業に向け、運営体制を明確にすることにいたしました。 “笑恵館クラブ 入会受付始めます” の続きを読む

ランドリソース 業務スタート

ランドリソースとは「土地資源」という意味の造語です。

昨年設立した「一般社団法人 日本土地資源協会」の愛称として使っています。

実はこの団体、意気込んで作ったものの開店休業状態でおりました。それは、この団体がはじめから「公益団体となること」を目指して作られたのに、「果たしてこの事業が公益事業といえるのか?」という疑問を感じ始めてしまったからです。

でもこの問題、本日ほぼ解決しました!それが今日のトピックスです。

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多世代型シェアハウス研究会 201209-12

tasedai当協会理事・田名夢子の自宅活用に関し、月に一度の勉強会を開催した。参加者をFBや口コミで募ったところ、「多世代型」と言う言葉に反応して多くの参加者が集まった。第3火曜日の18時から20時まで、自家製カレーライスを食べながら気軽に議論する場とし、500円の会費を徴収した。

全4回開催したのち、名称を笑恵館ミーティングに変更し、以後現在に至るまで続いている。