いよいよ「砧むらプロジェクト」がスタートします。そもそものきっかけは、笑恵館のご近所に住むOさんのお宅に、僕が「空き家資源キーパーズ」のチラシをポスティングしたことでした。Oさん宅は、すでに3人の息子が独立し、高齢者夫婦二人で大きな家を守っています。さらに隣接する4軒の内2軒が空き家なので、これらが庭を介して連続し、村のようなシェアハウスとなり、若者たちと地域の高齢者が一緒に暮らすようになるのは夢物語だろうか・・・という相談でした。
「これは面白い!」と僕が飛びついたのは言うまでもありません。早速Oさんに依頼して空き家のオーナーを探し出し、空き家活用の提案をしてみましたが、まるで相手にしてくれません。「どうにもならないからこそ、空き家なんだ」と、当たり前のことに気付かされましたが、かと言ってここで諦めるOさんではありません。「隣家が協力してくれないなら、もっと周りの人たちに相談しよう。この周辺は独り暮らしのお屋敷がひしめいているのだから、まずはお茶や食事で誘い出し、愚痴を言い合う仲間を増やしたい。」と言い出しました。そういうことなら任せて欲しい・・・ということで、まずは近所で仲間を募り、企画や運営に当たる組織を作ろう・・・ということでできた団体が「砧むらOBK(おばちゃん会議)」です。
「近所の人を巻き込んで、困りごとを出し合いながら、お互いに助け合いましょう」と呼びかけると、メンバーのおばちゃんたちが続々と参加してきます。そんなメンバーたちが集まるOBKの定例会議は、困りごともたくさんあるし、お節介も焼きたいし、まさにおもちゃ箱をひっくり返したような騒ぎです。「お互いに助け合いたい」という飢えにも似たニーズがこれほどあるのかと、「おじさんの僕」にはまざにびっくりポンでした。
Oさんの自宅1階の一部を開放して開設する「くつろぎ処・おおがいさんち」は、祖師ヶ谷大蔵駅から7分ほどの砧4丁目に位置します。その周辺500世帯ほどすべてに、「砧むらだより」を毎月配布し、しつこくお誘いを続けます。砧むらだよりの見開きページは砧むらの地図になっていて、参加してくれる村人のほか、様々な村内の情報を盛り込んでいきます。「まちづくり=地図づくり」という考え方で、自分たちが必要なことを盛り込んだオリジナルの地図を作ることこそが、この事業の核心です。やがて、村民の住まいの空き室や、村内の空き家を活用する様子が、この地図に盛り込まれていくことを目指したいと思います。
4月8日の14時から行う、オープン記念イベントの内容は・・・
14:00 ~ 和太鼓の演奏
14:30 ~ 挨拶・乾杯
15:00 ~ 講演 大海宏“アインシュタインと僕“
15:30 ~ ウクレレの演奏
です。初めに和太鼓を鳴らし、近隣のどこからクレームが出るか確認し、それも踏まえてセレモニーを開催します。その後、物忘れが激しくなってきたOさんのご主人のお得意の自慢話“アインシュタインと僕“で、プリンストン大学在学中に晩年のアインシュタインと接した思い出話を聞きます。
無縁社会になりつつある都会の住宅街で、お節介なおばちゃん達が前代未聞の「まちづくり」に挑みます。これまでもいきなり電話がかかり、「天井の電球を変えて欲しい!」とか、「粗大ごみを搬出するのを手伝って!」とか、容赦なく雑用を言いつけられ、今後はさらにエスカレートしていくのだと思います。でも、そんなお手伝いがすべて「営業活動」だと考えています。そんな中から、いずれ手弁当ではできない仕事が生まれてくるのだと思います。ミケランジェロもダビンチも、そうやって仕事を取ったのだと思います。ビジネスで地域に貢献するということは、そういうお付き合いだと、僕は思います。