所有権と所有義務

ランドリソース活動は、土地所有のあり方についての提案でもあります。 土地所有のあり方は、今の日本においては「所有権」という権利が誰に帰属するかによって所有者が決まります。あえて「今の日本」と加えたのは、地域や時代によって異なるからです。例えば、国の領土について日本と中国では違います。中国政府はすべての領土を所有していますが、日本政府はそうではありません。尖閣諸島を国有化したことは、国内ではあまり意味を持ちませんが、中国に対してはかなりのアピールになった訳です。日本でも、無かと今では違います。豊臣秀吉や徳川家康はある意味で領土を所有し、功績のあった家来に褒美として与えていましたが、今の安倍総理はそんなことはできません。土地の所有とは、決して普遍的なことではないわけです。

私たちの知っている所有権は、次の3つの権利で成り立っています。
1. 利用権 土地を自由に使う権利
2. 収益権 土地から得られる収益を取得する権利
3. 処分権 土地を分割、売却する権利

これらの権利は、義務ではないので、行使しなくても責められることはありません。このことは権利を持つ側にとっては好都合ですが、周囲に迷惑を及ぼすことがあります。空き家とは、利用せず収益も生まず処分もされない家ことであり、その典型例だといえるでしょう。「空き家の無い社会」を実現するためには、この問題を避けて通ることはできません。所有者個人の権利は守られるべきだと思いますが、空き家の放置に関していえば、社会の一員として果たすべき、下記のような義務もあるはずです。
1. 利用義務 土地を放置せず、何らかの方法で利用する義務
2. 保全義務 土地を保全するための費用を負担する義務
3. 放棄義務 土地の利用も保全もできない場合は放棄する義務

これらの義務は強要されるべきではありません。権利を守るために、あくまで自発的に取り組むべきものだと思います。しかし、権利が自由ですが、義務は約束です。自由を守るには何もしなければいいのですが、約束を守るためには永続的に義務を果たし続ける仕組みが必要です。私たちは、これらの義務に取り組むことを「公益」と考え、これらの義務を負う所有者となるために「取得」という事業を開始しました。この義務に基づいて設立された法人が所有者となることで、約束は永続的に果たされることになると考えます。