僕を釣った男

今回の訪問は、石川県羽咋市宇土野町にある、築350年の岡部家住宅の再生プロジェクトが始動する節目の訪問だ。これまでは、岡部家の方や現地の親戚(分家)との信頼関係を築くプロセスだったのに対し、これからは現地での新たな仲間作りとして、家族の輪を広げる段階に入る。そこで僕は事前準備として、「羽咋」で検索できたすべてのサイトを覗き、その手掛かりを模索した。そしてようやく唯一のサイトにたどり着いた。それは、羽咋在住の個人が独自の視点で羽咋の魅力を発信するサイト。誰にでもできそうな、ささやかな地元紹介のサイトが一つだけ見つかった。僕は早速そのサイトの問い合わせフォームに熱い書き込みをし、返事を待った。すると、2日後にこんな返事が返ってきた。

「日本土地資源協会 松村様 はじめまして。
羽咋観光サイト(http://hakui.me)の運営をしております吉田圭哉と申します。(実名でいいよね!)
この度はご連絡ありがとうございます。古民家の活用について興味深く読ませて頂きました。私は羽咋でフリーランスとして活動しています。主な事業はWeb制作です。地元である羽咋で働き始めたのは去年からでして、まだ人脈や影響力が少ない人間ですが、何かお力になれれば幸いです。よろしくお願いします。(3/17)」

そこですかさず、僕はこう返した。

「吉田さん、早速お返事いただきありがとうございます。早速ですが、4月の9-11日にかけて羽咋にお邪魔することにいたしました。その際には是非ともお目にかかり、様々情報交換させていただければと思います。また、早速Facebookで友達申請もさせていただきましたので、よろしければご承認のほど!
それでは、取り急ぎお返事まで。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(3/17)」

これに対し、吉田さんの返信は・・・

「松村様 こんにちは。吉田です。4月の9~11日まで羽咋にいらっしゃるのですね。私は9日(土)の午後~夕方までは予定が入っておりますが、他は空いておりますので、ぜひお会いできればと思います。楽しみにしております。現状で、古民家及び敷地内の活用方法で決まっていることがございましたら、参考までにお知らせ頂けると幸いです。よろしくお願い致します。(3/18)」

こうなると、話は早い、状況説明の後こんなメールを届けた。

「先ほどの続きです・・・
それと、これは勝手な妄想なんですが、羽咋での活動の広報を、吉田さんにお手伝い願えないかと考えています。私も所有者も東京にいるため、この事業の現地協力者をどれだけ集められるかが、とても大切だと考えています。まして、現地のビジネスは現地の皆さんに担ってもらうべき。なので、吉田さんには業務委託先ではなく、事業パートナーとして参加していただけないでしょうか。少なくとも、そんな思いでおりますので、ご承知おきください。ご意見がありましたら是非お聞かせください。ではでは!(3/18)」

そしてこんなお返事が・・・

「松村様、こんにちは。吉田です。
(中略)また、事業パートナーとしての参加の件、光栄です。9日と10日の夜は体を空けておきますので、よろしくお願いします。(3/19)」

これで決まり。
やり取りを開始して2日後に、無理やり事業パートナーに任命、その後現地説明会の参加者を集め、4月10日の説明会が実現しました。説明会には京都の大学を卒業して地元に戻ってきた新卒女子Eさんから、苦労人の市議会議員Mさんまで、6名が参加、先回お話しした「よぼし親子」の縁を結んだところで、会は最高潮に。最後に一人ずつ感想を述べてもらうことにして、最初に立ち上がった吉田さんがこう切り出したんです。

「今回自分のWebサイトで松村さんを釣った吉田です。やりましたっ!!」

これには一同ひっくり返って大笑い。僕も絶句でした。しかし、彼の言う通り、僕は吉田さんを釣ったつもりでいましたが、釣られたのは僕の方だったんです。

いろんな出会いがありますが、今回は本当に痛快です。だからそのままお見せしちゃいました。