地主革命

革命とは、統治体制が急激かつ根底的に変革されること。具体的には、支配する側とされる側が入れ替わることを指す。はるか昔の原始時代は、強いものが弱いものを支配する世界だったが、支配される側がより良い世界をつくるために団結し、幾度も革命を繰り返してきたのが人類だ。しかし、革命が繰り返されたのは、それが結局正解ではなかったからだ。でも、人間以外の動物たちが革命を起こさずに何万年も同じ生き方をしているのに比べれば、たとえ不完全でも革命を繰り返す人類は、自分から進化しようとする高度な存在だと私は思う。

だとすれば、現代社会は、数々の革命を経て辿り着いた理想の世界かも知れないが、さらに進化してしまった僕たちは不満を募らせている。解決できない問題の蓄積が破たんを招くようであれば、やがて革命が起きるに違いない。だが次の革命など起きるのか、一体誰がどのように起こすのかなど、まるで想像できない。そこで私は、現在取り組んでいる課題の中で、解決どころか悪化していく問題を選び、その被害者による新たな革命に着手した。その名を「地主革命」という。

私は今、日本中で土地や家が使われずに放置されている空き家問題に強い憤りを感じている。なぜなら、空き家はその存在でなく、社会に及ぼす迷惑が問題視されるばかりで、空き家を生まないように将来を考えたり後継者を育てようとしないからだ。現に空き家対策と呼ばれるサービスは、空き家を整備したり、巡回するものばかり。たとえリフォームして賃貸できても、その分どこかで空室が生まれ、入居者も永遠に入居するわけではない。土地はいつまでも使えるのに、誰も未来のビジョンを描いていない。

この問題が一向に解決しない現状を見ていると、加害者であるはずの土地所有者たちがむしろ被害者に思える。確かに土地を買う際に「土地は使わなければいけない」とか、「必ず誰かに引き継がなければいけない」などの条件は無い。かつての「地主」なら当然のことなのに、「地主」の自覚が無いのだから無理もない。日本では、すでに大部分の「地主」を滅ぼしたので、「地主」に関する法律も学問も無い。だから、「地主」を管轄する役所も無ければ、「地主」を育てる学校も無い。

そこで私が始めた「地主革命」は、「地主」を育成することだ。もちろんこれから育てる「地主」とは、封建制度の担い手ではなく、土地を売らずにいつまでも使い続ける人のこと。一握りの特権階級でなく、みんなが担うべき役割だ。そのためには、まず社会の課題を「地主」目線で見直して加害者意識を持つこと、次に土地と所有権の今後の在り方を考えること、そして土地を使って実現したい世界を、やるべき仕事・賛同する仲間・それを支える地域で描くこと、最後にそれらを永続的に継承していく仕組みを作ること。

私は以前から革命をやりたいと語ってきたが、すでに着手していた取り組みこそが革命だとは気付かなかった。今回誰もが地主になれるよう、「地主の学校」の必要性に気付き、その立ち上げに着手したものの、その目的を明確に説明できずに困っていた。だが、私の頭の中にある一番危ない「革命」という言葉を、勇気を出して取り出してみたら、即座に体が熱くなってきた。だからもう迷わない。私の命は、この革命で燃やそうと思う。ちょっと大げさになっちゃったけど、これで行くので、皆さんと大いに議論したいと思う。