僕が起業支援活動家と名乗るようになったそもそものきっかけは、1999年に自分の会社が倒産したことだ。
3年前に父から引き継いだとはいえ、まだ父が実権を握っていた会社の倒産は、僕にとって失敗でなくむしろ再建へのチャレンジだった。
そのおかげで僕は、破たんと起業の同時進行を体験できた上に、再生の機会を与えてくれた社会の存在に気付いた。
成功を求める「会社」は、時として失敗し破たんするが、継続する「社会」が失敗者を許容し、新たな機会を提供してくれる。
世界は、僕ら人間が「欲望を追求する会社」と「失敗に備える社会」で出来ている、と僕は思う。
だから僕には、地域社会の消滅や日本政府の破たんは許せない。
以前「継続しなくちゃ社会じゃない」と言ったのは「不死身じゃなくちゃ社会じゃない」と言い換えてもいい。
そこで僕は、起業支援の対象に「社会」を加えたいと思う。
さらに言えば、その社会とは日本政府に代わる選択肢を目指すので、「社会でなく国」と呼ぶことにする。
つまり、「起業支援」に「国づくり支援」を追加する。
そして、日本を国でなく世界とみなす、あるいは日本政府を中心とした連邦国家と考える。
その単位は「土地」とし、所有者を国民とする「土地国家」と考える。
日本最大の地主は、恐らく国有地を所有している日本政府だろう。
もちろん日本政府は安倍さんのものではなく、全国民が所有する土地を政府が管理しているわけだ。
ちなみに、日本国民とは国籍を持つ住人すべてを指す。
また、都道府県や市町村の所有する土地もあるが、これらも国民が共有していると考えよう。
問題は、残りの私有地=民有地の部分だが、これらは民間個人や法人が所有しており、政府や自治体は手を出せない。
公営の住宅や商業施設を除き、国民が生活する場はすべて民有地だ。
敗戦後の天皇制廃止によって、日本では本当に民が主となり、所有者を王とする国の集合体になった。
日本の民有土地所有権は世界最強であり、国家ですら介入できず、放置されている。
その証拠に、空き家や耕作放棄地など、使われずに放置されている土地や、中国による買い占めが取りざたされている土地はすべて民有地だ。
すべての土地を土地国家と考えることは、所有者が地主として自分の土地を考えることでもある。
登記上の所有者は一人かも知れないが、実際には家族が所有権を分かち合っており、家族も土地国家の国民と言える。
そして、土地の使い方や将来像だけでなく、どのように継承していくのかも家族全員で決めるべきだ。
継承し、永久に売らない土地だけが国家だ。
いずれ土地を売却する人もいるだろうが、世界では、そういう土地を植民地という。
国づくりを考えることで、社会の見え方が変わってくる。
もしも日本が世界なら、日本政府という大国のせいにしていても問題は解決しない。
たとえ小さくても僕たち民間の国々が、何をすべきかを考えたい。
そして、何でもできる所有権を使って、国づくりを始めよう。