日本土地資源協会を設立したのは2012年の9月11日、今からちょうど7年前だった。

そのきっかけとなった笑恵館のオーナーTさんとの出会いはその年の5月ころだったので、僕はこの法人をたったの4か月で生み出したことになる。

その2年後には笑恵館がオープンし、プロジェクトは順調に進んだかに思えたが実際には そう簡単な話ではなかった。

笑恵館という一つのプロジェクトは、会員数も増え続け永続化に向けて順調に推移しているかもしれないが、この法人は名前の通り、日本中の土地問題に挑むことを目指している。

だから僕にとって、一宮庵(いっくあん)という2つ目のプロジェクトに着手できることは何よりうれしい。

「土地所有の法人化を普及するために日本土地資源協会を設立した」という説明が、ようやく嘘でなくなった。

だが、初めてと2回目はこんなに違うことなのか。

笑恵館では、受けた相談の解決に挑んだが、今度は先に事業スキームがあり、それを説明する順番だ。

そこでぼくは、導き出した答えを分かりやすい絵に描いてみたので、その説明を練習したい。

このイラストは3人の人たちの関係を描いている。

左側に土地所有者(OWNER)、右側に土地利用者(USER)、そして真ん中にいるのが僕たち(LR)だ。

(LRとはLand Resourceの略で、土地資源のこと)

僕たちの役割は、土地の所有を法人化することで土地を永続的に使用できるようにすることだ。

そのためには所有と使用を分けて、僕たちがその間に入ることにした。

そもそも土地の所有者は、土地の賃貸や売買をするだけの所有者でなく、土地を使う利用者でもある。

土地所有は財産とみなされてその継承は相続扱いとなるが、土地利用は事業でありその継承は相続の対象とはなりえない。

だからこそ、土地の所有と利用を分離して、土地を利用する後継者を育てることが永続的な土地利用には欠かせない。

それに対し、土地所有の後継者(相続人)が大勢いればいるほど、土地が細切れになる上に争いばかり起きるのは、何とも皮肉なことだ。

利用者から発する矢印は、お金の流れを示している。

利用者はLRに対し土地の利用料(賃料)を支払うが、LRは所有者に対し、固定資産税などの負担経費分を賃料として支払う。

そして、賃料収入から所有経費を差し引いた収益を、利用者に還元するのがLRの役割だ。

もちろんこれは、単なる利益の還元でなく、その土地を地域社会の魅力にするための「業務委託費」だ。

通常の所有者にとって、この差額が不動産収益となるのだが、このスキームでは所有と利用を分けているので、土地利用に関わる所有者だけがこの収益を得ることができる。

さらに言えば、それは業務委託費なので、不労所得でないことを忘れないで欲しい。

土地所有が不労所得を得る権利なら、土地利用はそこで収益を生みだす仕事を得る権利と言える。

こうすることで所有者から生まれた利用者は、所有者が負担すべき固定資産税を負担するだけで、土地利用に挑めるようになる。

笑恵館で生まれたこのスキームは、すでに5年を経ることで確立できたと言い切れる。

土地資源のオーナーは、所有者として所有経費分の賃料を得て、利用者として施設運営の業務報酬を得る。

やがて所有者が死ぬときは、包括遺贈によって所有権をLRに委ねるだけ。

その時、すべての相続人の理解と協力を得ることと、土地利用の後継者を育てておくことが、今の僕たちの役割だ。

LRが所有者となった後は、このイラストの通り究極の所有者である日本政府に固定資産税という家賃を払い続けることになる。

そしてLRは不死身の法人なので、相続とは関係ないし、利用者の関係もいつまでも変わらない。

もちろん利用者は、土地利用の後継者を育てるため、血縁にこだわらない新たな家族を育てることになる。

かつての地主が封建社会の象徴であったのに対し、僕たちは新しい民主社会の地主を目指す。

それは、日本土地資源協会から広がる「土地所有法人と土地利用組織」のネットワークだ。

土地所有は非営利法人化によって相続の分割を回避し、土地利用は自由に独自性を追求することで地域の魅力を担いたい。

地域社会の魅力に便乗して相続税や不労所得を生み出すばかりでは、地域の衰退は止められない。

むしろ、土地が生み出す収益を、地域社会の魅力を作る業務に使いたいと僕は思う。

そして、他でもない「自分自身が地域の魅力になること」、これこそが新しい自分の仕事だと僕は思う。

だから土地を所有する法人は、非営利かつみんなの組織がふさわしい。

これからは土地所有を商売にするのでなく、土地の利用者として生きつづける地主を目指したい。